死んだ子の年を数える

8歳のころから死にたい、15歳からひきこもり、現在30年経過。

【草稿】ひろゆきさんは天才だけど単に論破するだけ

 いまのごちゃんねるを作った西村ひろゆきさんは論破の天才です。ここでいう天才は、思いつくことがだいたい正しい、どちらか2択のときは割と当てる。情報収集能力が高いことです。一時期には首相になって欲しい人や参考にするユーチューバーとして若者から名前があがっていました。

 彼の有名な言葉に「それはあなたの感想ですよね」があります。解説する専門家に向かって相手の盲点をみつけそれを鋭く指摘する、単に論理立っていない部分、情報が足りない部分を指摘するのです。だからといって彼の主張は正しいのでしょうか。

 ちがいます。専門家であればちゃんとしたバックの知識があったり常識だったりしますが、わざわざ出どころを思い出すことができないのです。情報として誤っているかどうか、その専門家と交流のある他の専門家の意見を持ってきている場合は言われたときその場できっちり説明できません。この場合のひろゆきさんの指摘は、あなたは私達聞く側の疑問に対して説明しきれないですよね、です。

 論破は相手の不完全な部分を指摘しつくすので、それ自体を深い議論の結論にすることはできません。その場で返す会議や利害の絡んだ交渉で使う能力なので、知っていることを知らないふりをして説明を求めたり、大切な部分で論点をずらす技術的な方法も多数あります。

 よい答えを導き出すときに当事者として直接発言してもらうより、第三者の意見として聞いたり、論理に無理がある発言の多いプロであっても説明する力が伴わない人には退場してもらう、その役目にはぴったりで、それが行き過ぎないよう仕切っているのが司会の人です。

 彼の天才さは論破するところにあり、細かな情報を集め知らない部分を埋めてしまい、それらしいことを言っていることもあります。専門家の間でも意見が二分しているところは彼の天才の部分に頼ることになるかもしれません。しかし、体系だってきっちりと埋めてくる専門家の意見はそのまま無視して右から左に流していたり、理解できないふりをする。答えがあるけれど覚えていないこと、わからないことには、あなたに説明は無理です、と言い切って逆に論破してしまうので、論破の技術以外は直接学ぶ必要はないでしょう。    余談ですが、ちゃんとした有料の雑誌の記事や書籍は編集者がつきます。本人の意見や意思はそのままですが、明確な誤りや深刻な誤りは回避されている、または聞き取った人が書いて本人は書いていない場合もあります。そういう意味で有料の書籍は一人の天才の考え方や方法を読むなら価値があるでしょう。